一九九一年にブラジルを訪問中のキアラ・ルービックにより提唱された「共有の経済」。

今、この福音的な経済システムに基づく会社は、世界各地に存在しています。

国際・共有の経済ホームページ(英語)

 

  • いばらの冠

一九九一年五月、ブラジルのサンパウロ市をキアラは訪問。高層ビルの林立する市街地を取り囲んで広がる貧民街が、彼女の目には「イエスのいばらの冠」のように映り、「貧困に苦しむ人々に一日も早く食物と住まいを」という強い思いを抱きました。

それはヨハネパウロ二世の回勅「新しい課題・教会と社会の百年をふりかえって」が発表された時期とも重なり、社会問題に対する教会の示唆を受けながら、キアラはフォコラーレのメンバーに「共有の経済」を提唱しました。

 

  • 初代キリスト者のように

キアラは言っています。「初代キリスト者共同体のように、自由な心で貧しい人々を助ける会社が生まれてほしいと思います。会社経営の持続に用いる他、利益の一部を貧しい人々のために提供しましょう。また他の一部は『福音的な新しいメンタリティを持つ人々』を養成するために用いましょう。『新しい人』なしに新しい社会は生まれないからです。」

 

  • 大切なのは「人」

「共有の経済」は、「自分が所有・消費する」よりも「他者に与える」生き方をベースとし、「与えなさい、そうすれば与えられる」(ルカ6・38)という福音のみ言葉が様々な形で体験されています。「交わり」や「相互性」が経営者や従業員の間で実践され、貧しい人への援助も、単に利益の一部を回すのでなく、兄弟として相手を尊重することからスタートします。

この二十五年間には多くの試みや働きが生まれ、共有の経済のため犠牲や祈りを捧げたり、貯めてきたお金を寄付したり、また新たに会社が設立された場合もあれば、既存の会社の経営方法を共有の経済に変更したケースもあります。

今では八百十一を数える共有の経済の会社や活動は、様々な課題や困難に向き合いながらも、闇に灯る小さな明かりのように、世界各地で希望と確信をもって続けられています。

オリエンスの月刊誌に載た記事