BEYOND ALL BORDERS

あらゆる隔たりを超えて

2018年7月、フィリピンのマニラで、一致した世界を目指す若者たちのジェンフェストが開かれました。1973年に始まって以来初のアジア開催です。諸宗教対話が数多くある地域性を生かし、キリスト教はもちろんイスラム教、ヒンズー教、仏教などの若者たちなど100カ国6000人が参加、日本からはフォコラーレのメンバーや仏教（立正佼成会、妙智会）の若者たち108名が参加しました。若者たちのリポートをお届けします。

“Beyond All Borders”（あらゆる隔たりを超えて）をテーマに、三日間のステージタイム・100以上のワークショップ・ボランティア活動などが展開された。ステージでは各国の若者が、一致を築く上で通らなければならないこと、経験してきたことをパフォーマンスや体験談で表現。夜は二日ともライブコンサートがあり、またワークショップやボランティア活動では、会場で感じ、考えたことを具体的に行動に移す。

メディアチームも若者たちが担い、写真や歌、体験談、インタビュー動画などが次々とSNSにアップされる。あるインタビューは端的にジェンフェストのテーマを掘り下げている。「まずどんな壁にぶつかり、のりこえてジェンフェストに来たの？」という問いに、「貧富の差」「宗教や人種の違い」「紛争の傷」という答えもあれば、「知らない人に話しかける苦手意識」「英語に自信ないこと」「自分の殻」という、誰の心にも潜みがちな答えも聞かれる。

「いつわりのない自分に」仏教徒の青年がマニラでのGENFEST2018で語る経験

参加者の声

たくさんの国から集まったけど、いざ曲が始まると会場が一つに。皆が一つになった感覚が全身に伝わり、感動した。国や宗教を超えたつながりを、自分の大好きな歌で感じられたのも嬉しかった。

日本の国旗を持っていたので写真撮影のリクエストが続出。日本人に興味を持ってくれることが嬉しかった。

あるフィリピンの若者は、英語の聞き取れない僕にゆっくり話したり、一緒に行動してくれ、愛を感じた。疲れを知らない徹底的な愛をたくさんの人から受けとった。小さなジェスチャーでも、受け取る人にとっては大きな愛になるんだと分かった。

出発前の集いで、各々自分の乗り越えたいborderを決め、『笑顔を絶やさない』にした。辛いことや苦しいこともある中、笑顔でいることは想像以上に大変だったけど、何度も挑戦し直した。

スペインの若者たちが、カタルーニャ州独立を巡って互いに対立した経験を話し、苦しみを乗り越えて互いにハグしたのを見て、一致が実現したのを見る思いだった。

ワークショップで『他人とより良い関係を築くための会話方法』に参加した。大半は非英語圏出身だったので言葉の壁があったが、互いに嬉しかったこと、辛かったことを共有できた。これからの自分の考え方が変わっていくのを感じた。

マニラのタグレ枢機卿様がミサで『誰しも超えるのが難しいBorderがある。それは、十字架を背負わずに避けたい、というborderだ』と話した。僕も十字架を背負うのが嫌で、できれば避けたいと思っていたけど、小さな十字架から背負ってみようと思えた。誰かを愛するために、自分のすべてを犠牲にできる人間となれるよう、今日も一人でも多くの人を愛する努力をしたい。

韓国､台湾､中国の人たちと交流できたのがよかった。どこか通じ合え､プライベートのこと､暮らし方､文化など多くを共有できた。仕事で中国人と関わる機会が多いので､職場でも一致を築けるようにしたい。政治的には難しいと言われる日中韓だが､そこに住む人は平和という共通の希望を持って生活している。時間はかかるかも知れないが､より良い繋がりを持つことは可能だと感じた。

メキシコやルワンダ、韓国の若者たちの体験談やパフォーマンスは、ニュースで知る分断を、世界の仲間たちがどう乗り越えているかを知る本当に大切な機会だった。
2024年の次のGenfest（ブラジル）まで、自分の身の周りでできることに取り組みたい。

言葉、国、文化や宗教を超えて一致は可能だという体験をした若者たち。

彼らを取り巻く社会は、依然多くの問題が山積しています。貧困、差別、紛争、難民、孤立、心の病…　ジェンフェストでは、こうした多くの「壁」を前に、今の自分に何ができるかを問い、何をしたかを共有する場となったことでしょう。

ジェンフェストの様子はネットで閲覧できます。

http://y4uw.org/events/genfest-2018/

https://www.facebook.com/genfest/

YouTubeでもgenfest 2018で検索すると、歌や経験、インタビューなど（英語）が視聴できます。