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今月のみ言葉が書かれた箇所は、み言葉を聞くことと実践することの重要性を強調しています。事実、手紙はこう続きます。「自由をもたらす完全な律法を一心に見つめ、これを守る人は、聞いて忘れてしまう人ではなく、行う人です。このような人はその行いによって幸せになります」(ヤコブ1・25)と。神のみ言葉を知り、それを生きようと努めることによって初めて、わたしたちは自由になり、喜びを味わうのです。
「いのちの言葉」の実践が世界中に広まったきっかけは、今月のみ言葉にあると言っても過言ではないでしょう。フォコラーレ運動の創立者キアラ・ル-ビックは、初めの頃は週に一度、その後、月に一度、聖書のみ言葉の一節を選んでその解説をしていましたが、彼女の話を聞きに集まった人々は、日々の生活の中でみ言葉を実践し、生きた実りをお互いに分かち合うようになり、やがてそこから一つになった共同体が誕生しました。これによって、み言葉を生きることが社会に及ぼす影響が、はっきりと示されるようになりました。
「とてもシンプルな試みではありましたが、み言葉を生きた実りを共有し共に福音を生きるという『方法』は神のみ言葉を再発見する上で、非常に大きな貢献を20世紀のキリスト教世界にもたらすこととなりました。」2
御言葉を行う人になりなさい。自分を欺いて、聞くだけで終わる者になってはいけません。
使徒ヤコブの手紙は、天のみ国の現実を私たちの間で生き、それを体験するために、イエスが告げた言葉を取り上げています。つまり、み言葉を聞き、それを守る人は幸いである、とイエスが宣言されたこと3、み言葉を聞いて、それを行う人がイエスの母であり兄弟であること4、良い土地に落ちた種とは善い心でみ言葉を聞き、それを守り、忍耐して実を結ぶ人である5、と記されています。
「一つひとつのみ言葉の中に、私たちに対するイエスの愛が表れている」とキアラ・ルービックは語ります。彼女はさらに続けて「み言葉を具体的に生き、自分のものにしましょう。み言葉を実践する時、わたしたち自身や周りにも、あらたな命が溢れるのを目にします。み言葉そのものに自分が変えられていくほどに、福音を心から愛しましょう。わたしたちの内から溢れでる福音が、周りの人にも豊かに注がれるためです。… 福音を生きることで、自分自身や自分の限界、さまざまな束縛から自由になるのをわたしたちは身をもって体験するでしょう。こうして、わたしたちの中で生きておられるイエスが、力強く、愛によってこの社会を新たにしていかれるのをはっきり目にするのです」6と。
御言葉を行う人になりなさい。自分を欺いて、聞くだけで終わる者になってはいけません。
では、このみ言葉をどう実践できるでしょう。周りを見回して困っている人のために、自分にできる大小の行いをやってみましょう。社会の不正な構造を変えるように努め、暴力に打ち勝ち、平和と和解が促進するよう祈りましょう。そして地球を大切にする心を育みながら、具体的にわたしたちも行動しましょう。
こうしてわたしたちの生活や職場の環境、ひいては地域社会に、本当の意味での革命を少しずつもたらしていくことができるでしょう。
愛は、より良い世界を築こうとする社会的・政治的な行動を伴います。最も弱い立場に置かれている人々のために献身したいという、小さなフォコラーレ共同体の願いは、ペルーの北部、アマゾナス州、海抜2,330メートルにあるラムドの町に「キアラ・ルービック高齢者センター」を開設するに至りました。
「このセンターはパンデミックの最中に開設されましたが、現在、高齢の方や身寄りのない方が50名ほど入居しています。センターの建物もそうですが、家具や食器、食料品なども近隣の共同体の人々から寄付されたものです。センターの開設に至るまでには、リスクも困難や障害もありましたが、2022年3月に1周年を迎えることができました。祝賀会は一般に公開され、行政当局の出席もありましたが、2日間の祝賀会の間、家族のように入居者の方々に寄り添い、お世話をしたいと大人や子どもたちがその場でボランティア名簿に登録してくれたことは喜びでした。」7
御言葉を行う人になりなさい。自分を欺いて、聞くだけで終わる者になってはいけません。
パトリツィア・マッツォーラと「いのちの言葉」編纂チーム
いのちの言葉は聖書の言葉を黙想し、生活の中で実践するための助けとして、書かれたものです。
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1 日本聖書協会『聖書 新共同訳』
2 キアラ・ルービック「いのちの言葉」序文、F. Ciardi監修、チッタノーバ社ローマ2017, p.9
3 ルカ福音書 11・28参照
4 ルカ福音書 8・21参照
5 ルカ福音書 8・15参照
6 キアラ・ルービック、いのちの言葉2006年9月
7 Movimento dei Focolari, in https://www.focolare.org/wp-content/uploads/2024/01/BdC-2022-2.pdf, p.67