いのちの言葉2025年11月

 
「平和を実現する人々は、幸いである、その人たちは神の子と呼ばれる。」(マタイによる福音書5・9)

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最近、イタリアの3つの大学が合同で行った調査によると、この1年間で100万件以上の悪質メールがネット上に投稿され、外国人やユダヤ人に対する中傷、また特に女性に対する投稿がますます暴力的になっていることが報告されています。

むろん、同様の現象が至る所で起きているとは言えませんが、多くの人が家庭、職場、スポーツジムなどで、何等かの形で争いや対立、侮辱的な態度に出会う経験をしており、こうした現実は日常生活における社会的共存を危うくするものだと報告されています。さらに、よりグローバルなレベルでは、現在、地球上56ヶ所で武力紛争があり、その数は第二次世界大戦以来最多となり、非常に多くの民間人が犠牲になっているとの報告もあります。

こうした状況の中で、イエスの次の言葉は私たちにとってこれまで以上に衝撃的であり、強く心に響きます。

平和を実現する人々は、幸いである、その人たちは神の子と呼ばれる。

「どの国の人も、平和、調和、一致を強く望んでいます。しかしながら、そのための多くの努力や善意にもかかわらず、人類は2千年の歴史を重ねた今も、安定した継続的な平和を築くことができずにいます。

イエスは地上に来られ、私たちに平和をもたらしてくださいました。しかしイエスご自身、はっきりと、それは『世が与える平和』2ではないと言われました。単に、戦争や争い、分裂や傷跡のない状態を指すものではないからです。『イエスの平和』はそれをはるかに超えるものです。溢れるいのちと喜び、自由、人間の尊厳があらゆる面で尊重されること、あらゆる国の人が皆、愛の内に兄弟姉妹として生きることを意味するからです。」3

今月のみ言葉は、山上の説教の冒頭に記された「真福八端」の七番目にくるものです。(マタイ 5-7章)。「真福八端」、生涯を通して自らそれを体現されたイエスが弟子たちに教えを説かれました。ところで、ここでは「真福八端」がすべて複数形で語られていることに気づきます。このことから「真福八端」は個人の態度や美徳というよりも、むしろ、共同体の中で実現されるべき共同体的倫理であると言えるでしょう。

平和を実現する人々は、幸いである、その人たちは神の子と呼ばれる。

ここでわたしたちは自問したいと思います。「『平和を実現する人々』とは、いったい誰のことですかと。『真福八端』の七番目の教えは、最も行動的です。明らかに活動的です。その表現は、聖書の創世記の第1節と同様、創意と熱心な働きを示しています。愛は本来創造的なものです。…… そして、いかなる犠牲を払っても、和解を探し求めます。平和の築き方を学び、それを実行するようにと神の子らは召されています。彼らは、自分の人生を捧げずして和解はないと、そして平和をいつ、いかなる場合でも追求しなければならないと知っている人たちです。これは自分の能力の結果として得られる業ではありません。それは、わたしたちを神の子らとしてくださった方、わたしたちの平和であるキリストから受け取った恵みの現れなのです。」4

平和を実現する人々は、幸いである、その人たちは神の子と呼ばれる。

では、このみ言葉をどのように生きたらよいでしょうか。まず何よりも、本物の愛をあらゆる場所に浸透させていくことでしょう。そして、もし私たちの周りで平和が脅かされるようなことがあれば、思慮深く介入することができるでしょう。時には、反対意見を持つ人々の話を最後まで愛をもって聞くだけで、少しずつ解決の糸口が見えてくることもあります。

しばしば、ほんの小さなことから関係が壊れたりするものです。しかしそれを放置しないで関係が修復されるまで諦めないことです。さらに平和への意識を高めるために、例えば、所属する団体、教会、教区の中で工夫して何かができるかもしれません。世界の各地では、大小さまざまな方法で、平和を築いていくための取り組みが行われています。平和行進や平和コンサート、平和会議、また、さらにボランティア活動も平和を築いていくための具体的な流れを生み出しています。その他「リビング・ピース」5のような平和教育のプログラムもあり、現在、世界中で2600以上の学校や団体がこのプロジェクトに参加し、5大陸で200万人以上の子どもたち、若者、大人がその活動に参加しています。その中の一つにキアラ・ルービックが提唱した「愛の芸術」6にヒントを得た「平和のサイコロ」があります。サイコロを振ると、その各面に平和を築くためのキャッチフレーズが書かれており、そこからイニシアティブも生まれています。最後になりますが毎日、正午には「タイムアウト」と呼ばれる平和のための黙祷が世界中で捧げられています。

平和を実現する人々は、幸いである、その人たちは神の子と呼ばれる。

アウグスト・パロディ・レイエスと「いのちの言葉」編纂チーム

 

いのちの言葉は聖書の言葉を黙想し、生活の中で実践するための助けとして、書かれたものです。

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